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基礎・基盤研究

基礎・基盤研究

 福島第一原子力発電所の廃炉に取り組んでいくためには、現場への適応に関して成果と必要性が明らかな実用的な研究のみならず、中長期的視点に立った戦略的な要素技術の開発や実現可能性が確実でない試験や実証実験にも視野を広げて、広く国内外の叡智を結集していくことが必要です。

 こうした観点から、廃炉の加速化に資する先端的な研究開発や既存の廃炉技術の代替等に向けた多様な可能性の追求、学術的な知見の提供など、主に大学等研究機関が行う基礎・基盤研究が果たす役割は大きくなっています。

 一方、基礎・基盤研究は、福島第一原子力発電所の廃炉を見据えつつ、それぞれの研究者の関心に基づき多様に行われていくべきものです。こうした研究の質と量が廃炉技術の厚みそのものとなり、応用研究や実用化の下支えとなることが期待されます。

 このため、日本原子力研究開発機構(JAEA)及び大学は、基礎・基盤研究の推進協議体である「廃炉基盤研究プラットフォーム」を共同で運営しています。原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)、事業者である東京電力、応用研究を実施している国際廃炉研究開発機構(IRID)等との間で廃炉現場ニーズの共有等で協力しつつ、国内外の多くの研究者、研究機関の幅広い参加を得て基礎・基盤研究が推進されています。

ニーズから導き出された重要研究開発課題とその戦略的推進

 廃炉研究開発連携会議(本サイトの取組の全体像ページを参照)では、福島第一原子力発電所の現場のニーズと大学等の研究機関のシーズをマッチングさせる観点から、ニーズを明確にし、有望なシーズを応用・実用段階の研究開発や現場適用につなげることの重要性が指摘されました。そのため、廃炉研究開発連携会議の下に設置された「研究連携タスクフォース」において、戦略的かつ優先的に取り組むべきさらなる研究開発課題・ニーズとして、以下の6つの重要研究開発課題が抽出されました。
 この重要研究開発課題の抽出を受け、廃炉基盤研究プラットフォームに6つの課題別分科会が設置され、これら重要研究開発課題に関して、今後の研究アプローチ等を定める研究開発戦略の策定作業が進められています。

  • 燃料デブリの経年変化プロセス等の解明

 燃料デブリの取り出し時期は平成33年以降とされており、燃料デブリ生成後10年経過後となります。さらに、その後の燃料デブリ取り出しにはある程度長期間を要すると予想され、燃料デブリは炉内環境中で十年以上留まることとなります。また、取り出した燃料デブリは安全に保管しなければなりません。これらのことから、燃料デブリの取り出し方法や移送・保管方法を検討するためには、燃料デブリの経年変化予測は必須です。

  • 特殊環境下の腐食現象の解明

 高放射線環境や非定常な経路での冷却水など、1F廃炉の特殊環境を考慮した幅広い環境条件下での腐食データを取得し、廃炉中に発生する可能性のある腐食現象の解明を行います。

  • 画期的なアプローチによる放射線計測技術

 1Fの原子炉内や建屋内は事故の影響で非常に高い放射線環境となっています。炉内状況や建屋内状況を調査する上で、現行の放射線測定装置では性能・機能上限界があります。そのため、1Fでのニーズを踏まえた上で、新たな発想、原理を用いた画期的な放射線計測装置の開発を行う必要があります。

  • 廃炉工程で発生する放射性飛散微粒子挙動の解明(αダスト対策を含む)

 燃料デブリを機械的又はレーザー等により高温で切削する場合、多量のαダストが発生すると予測され、安全上の対策、閉じ込め管理が必要となります。そのため、αダストの物理的化学的性質等の性状把握、切削方法ごとのダストの発生量予測とそれらを踏まえた閉じ込め対策の検討を行い、デブリ取り出し時の安全確保を図ります。

  • 放射性物質による汚染機構の原理的解明

 建屋内の線量率を低減するためには、汚染源に対して汚染機構を踏まえた効果的な除染を行うとともに、同時に、できるだけ無駄な廃棄物を出さないことが重要です。そのため、効果的な除染のための汚染機構の原理的解明を目指します。

  • 廃炉工程で発生する放射性物質の環境中動態評価

 放射性物質の環境影響を評価するためには、放射性物質の浅地下環境中での吸着や拡散、地下水に伴っての移動等の挙動を解明する必要があります。

関連情報

<拠点大学へのリンク>

<関連する学協会へのリンク>
 日本原子力学会誌「アトモス」2015年3月号の特集記事[原発事故から4年-いま問われる「知の統合」福島原発事故に対する各学会の取組み]に掲載の学協会へのリンク